ノーコードツールを使うときに知っておきたいこと

プログラミングでよく使う「変数」とは?

つぎは、プログラミングではおなじみの仕組みである「変数」について確認しましょう。
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1. 変数とは?

さて、変数とは何でしょうか。

変数とは、データを一時的に保存しておくための箱のようなもの。

実際のところ、変数とはデータを扱うメモリ領域のことを指します。ただ、メモリ領域というと少しイメージしづらいかもしれないので、ここでは「箱」や「入れ物」のようにイメージしやすいものに例えて確認していきましょう。
プログラミングでは文字列や数値、日付など、多くのデータを扱います。例えば、画面に表示するための文字列や計算で使用する数値、日付などがあります。

それらの情報は、プログラムが処理している間、「どこか」に保存して、必要なときに「どこか」から取得できるようにしておく必要があります。その「どこか」が「変数というわけです。

変数利用の流れ

変数を利用する場合の簡単な流れを確認しておきましょう。

  • まず、入れ物となる箱を用意します。
  • つぎに、どのようなデータが入っている箱なのかをあとで判別できるように、箱に名前をつけます。
  • 箱が用意できたら、データを入れます。
  • 箱の中のデータを使って、画面に表示したり、計算したりします。

それでは、それぞれの流れを詳しく確認していきましょう。

2. 変数には名前をつける

変数を作成する方法はツールによって異なりますが、どのツールでも変数には固有の名前をつけて作成します。
最初に命名規則(名前づけのルール)を決めて、それに従って名前をつけるようにすると統一した変数名をつけられます。
命名規則を決めるときには、つぎのようなポイントを考慮しましょう。
わかりやすい名前をつける
プログラムは複数の人で開発することが多いため、自分にしかわからない名前をつけるのではなく、どんなデータが格納されているのかがわかりやすい名前をつけるようにしましょう。

例えば、名前を表す変数を「name」、値段を表す変数を「price」といった感じです。
もし、変数名に「a」や「b」などのようにわかりにくい名前をつけてしまうと、変数名だけではどんなデータが格納されているのかがわかりづらいですよね。

また、より変数の中身をわかりやすくするため、変数名に「プレフィックス(接頭語)」をつけるという方法もあります。プレフィックスとは、変数名の先頭にくっつける任意の文字列のことで、格納するデータの種類や役割に応じた特定の文字列をプレフィックスとします。

例えば、MotionBoardで「システム変数」という変数を使うとき、全ボード共通で使うような変数名には、プレフィックス「CMN_nn_」や「PUB_nn_」(「nn」は連番)をつけることがあります。

(例)CMN_nn_日付、PUB_nn_案件名
統一した名前をつける
同じデータを格納する変数には同じ名前をつけましょう。

例えば、「値段」を表す変数名に「price」と「値段」のように、別々の名前をつけてしまうと、意図的な違いがあるのかと思われ、混乱を招いてしまいます。
変数の名前に使える文字種は、ツールや機能によって異なります。半角英数と一部の記号のみを使える場合や、全角文字も使える場合などがあります。
詳細は、使うツールや機能を確認してみてくださいね。

また、ここでは、変数名を英語表記とした例でご紹介していますが、全角文字も使えるツールでは、運用状況によっては日本語表記の方がわかりやすい場合もあるでしょう。
誰がどのように利用するか、誰にとって何をわかりやすくするのか」といった観点で、ご自身の組織にあった命名規則を決めることをおすすめします。

3. 変数にデータを代入する

プログラムの処理中、変数には何度でもデータを設定でき、最後に設定したデータで前のデータを上書きします。
つまり、変数は繰り返し使えます。

一般的に変数にデータを設定することを代入(だいにゅう)といいますが、ツールでは、GUIの設定画面などで変数にデータを代入することも多いため、単純に「変数にデータを設定する」と表現することもあります。
どちらの表現方法も覚えておくとよいでしょう。

なお、このコンテンツでは、「代入する」という表現に統一してお伝えしていきます。
変数の中には、MotionBoardの「システム変数」などのように、ツール側であらかじめ用意してくれているものもあります。そのような変数は、ツール側が自動で変数にデータを代入してくれるので、ユーザー側でデータの代入はできません。

プログラミング言語などで、変数にデータを代入するときの表現方法

MotionBoardの「事後計算スクリプト 」やプログラミング言語などを使う場合は、変数にデータを代入するときの記述方法も知っておくとよいでしょう。
プログラミングでは、代入する記述を「変数名 = 変数に入れるデータ」と表現します。右辺を左辺に代入するという意味を表します。

算数で「=(イコール)」は「等しい」という意味で使いますが、プログラミングでは「代入」という意味で使うので、はじめての方は戸惑われるかもしれませんね。ここは決まりごととして、覚えてしまいましょう。
変数「price」に「5000」というデータを代入する場合、つぎのように記述します。

price = 5000
変数を使い始める前に、最初に変数に代入するデータを決めておく(初期値を設定する)という使い方をすることがよくあります。
そのような処理を「変数を初期化する」といいます。

例えば、変数の初期化はつぎのように記述します。
具体的には、後述の「5. 変数には「型」が存在す」で確認しますが、データの種類に応じて初期値の記述方法は異なります。

(例)変数を初期化する
price=0

name=""
 または name=''
birthday=""
 または birthday=''

4. 変数のデータを参照する、計算する

変数に入っているデータは、変数名を指定することで参照できます。
例えば、変数「name」を指定して、変数「name」のデータを参照してメッセージに表示する、といったことができます。
さらに、変数を使って四則演算の計算ができたり、変数の中のデータに対して等しい、等しくない、大きい、小さいなどの比較をして処理を変えたり(後述の「分岐処理(条件分岐、場合分け)とは?」参照)と、さまざまなことができます。
四則演算や比較をするときは、つぎのような「算術演算子」や「比較演算子」という演算子を使います。
算術演算子
+
左項と右項を加算します。
-
左項から右項を減算します。
*
左項と右項を乗算します。
/
左項を右項で除算します。
%
左項を右項で除算した剰余を計算します。
比較演算子
==
左項と右項が等しいかを判定します。
>
左項が右項より大きいかを判定します。
>=
左項が右項以上かを判定します。
!=
左項と右項が等しくないかを判定します。
<
左項が右項より小さいかを判定します。
<=
左項が右項以下かを判定します。
例 ①
変数同士の掛け算

変数「price」(値段)と変数「quantity」(数量)を掛け合わせた結果を変数「amount」(金額)に代入する場合、計算式をつぎのように表現します。

amount = price * quantity
例 ②
同じ変数を使った足し算

変数は処理の中で何回もデータを代入できますが、今の値段に「1000」を足すという処理の場合は、つぎのように表現します。

price = price + 1000

5. 変数には「型」が存在する

変数には決まった「型」が存在します。「型」は「データ型」と呼ばれ、「数値型」、「文字列型」、「日付型」のように、その変数が保持するデータの種類を決める役割があります。
一般的に変数には、決まった「データ型」と一致する値だけを格納できます。

例えば、データ型が「数値型」の変数に文字列は代入できません。代入しようとするとエラーになります。
また、データ型が「文字列型」の変数を使う場合、「データの個数(カウント)」の計算はできますが、四則演算などの計算はできません。数値の計算を行いたい場合は「数値型」の変数を使うようにしましょう。

データ型によってデータの指定方法が異なる場合がある

ツールのGUI画面から変数にデータを代入する場合、データ型を意識せずにそのままデータを設定できることがありますが、設定場所によっては、つぎのようにデータの指定方法が決まっている場合があるので覚えておきましょう。

変数が「数値型」の場合

数値データをそのまま代入します。
「数値型」の変数「price」に「5000」を代入する場合、つぎのように記述します。

price=5000

変数が「文字列型」や「日付型」の場合

文字列データや日付データを’(シングルクォーテーション)」または「”(ダブルクォーテーション)」で囲んで代入します
どちらの記号で囲むかは、使うツールで確認してみてくださいね。
例 ①
「文字列型」の変数「name」に「山田 太郎」を代入する場合、つぎのように記述します。

name=’山田 太郎’
 または 
name=”山田 太郎”
例 ②
「日付型」の変数「birthday」に「2004/11/23」を代入する場合、つぎのように記述します。

birthday=’2004/11/23’
 または 
birthday=”2004/11/23”
関数の引数を指定するときやプログラミング言語を使うときも、上記と同じようにデータ型によってデータの指定方法が異なります。

また、ツールによって、データ型の種類が異なったり、データ型がない変数を使えたりと、採用されている仕様に違いがあります。詳細は使うツールのマニュアルなどで確認してみてくださいね。

代表的なデータ型の例は、はじめてのSQLの「
データベースを学んでみよう」で説明している「データ」でも確認できます。

6. 変数と定数の違い

使うツールによっては、変数と似た仕組みの「定数」を使えるものがあります。
変数は、「処理中に何度でもデータを代入できる」、つまりデータを変更できる仕組みでしたね。

それに対して、定数の仕組みにはつぎのような特長があります。

定数とは、文字どおり一度決めたらデータを変更できない、つまり固定のデータを扱う仕組みのこと

そのため、定数は「絶対変わらない」、または「変えたくない」データを扱いたいときに使うとよいでしょう。

例えば、消費税率などは頻繁には変わりませんよね。消費税率「10%」を定数として設定しておくと、プログラム中に勝手に書き換えられてしまうということを防げます。

7. まとめ

いかがでしたか?

ここでは、変数について確認しました。
最初は難しく感じられるかもしれませんが、ノーコードツールでもよく使われる、とても重要な仕組みですので、ぜひ覚えておきましょう。